2009年5月15日金曜日
〔復刻版〕童話の教訓② キツネとネコ
〔復刻版〕童話の教訓② キツネとネコ
イソップ物語の「ずるいキツネ」のお話では、ネコはだまされて、ずるがしこいキツネがトクをしました。
「正直者はバカをみる」といいますが、ずるくて要領よく立ちまわれる者が、かならずしもトクをするわけではありません。世のなかには、因果の道理というものがあります。悪を行えば、悪果が返るもの。それを「悪因悪果」といいます。ずるい者は一時的にはトクをすることはあっても、いずれは調子に乗りすぎて墓穴を掘るものです。
グリム童話には、ずるがしこくて、うぬぼれたキツネがソンをするお話があります。
ある森の中で、ネコはキツネとバッタリ出会いました。ネコはニコニコしながら、キツネに話しかけます。
「こんにちは、キツネさん。このごろ獲物(えもの)がすくなくなって、狩りがやりにくくなりましたね。でもキツネさんは頭がいいから、どんなときでもうまくやっていらっしゃるんでしょうね」
するとキツネは、めんどくさそうに返事をしました。
「ぼくがうまくやっているかだって? きみは、どんなやりかたを知っているの?」
「わたしは、イヌから逃げる方法をたったひとつしか知らないんです」
「どんな?」
ネコは、はずかしそうに答えました。
「もし、イヌが追いかけてきたら、すぐ木に登る。それだけです」
「へー、それだけ」
キツネは、ネコをばかにしたように言います。
「ぼくは、百よりも、たくさんの逃げ方を知ってるよ。それから、相手をワナに引っかける技もね。みんなぼくの知恵袋(ちえぶくろ)の中に入っているんだ。あわれなネコくん、ひとつ教えてあげようか?」
キツネが得意(とくい)になって、夢中(むちゅう)でしゃべっているときです。イヌを4匹つれた狩人が、すぐそばまで来ました。
ネコは、すばやく木にのぼりました。これで安心、木の枝や葉っぱがネコをスッポリとおおいかくしてくれます。
「キツネさん、はやく知恵の袋を開けなきゃ!」
ネコが言ったときにはもう遅く、キツネはつかまってしまいました。
「キツネさんどうして? 百以上のやり方を知っているのに。あっ、そうか。どのやり方にするのかまよっているうちに、つかまってしまったんだ。わたしは、ひとつしか逃げ方を知らなくて助かったよ」
ネコは、ホッとため息をつきましたとさ。
文字を読むのがめんどうくさいという人は、下のリンクをクリックしてください。原話が聴けます。
http://db4.voiceblog.jp/data/hukumusu/1235254040.mp3
ここで、ちょっとだけアレンジして、「サンラ商法被害者連絡会」仕様のお話にしてみましょう。
あるお金持ちの集まりで、ネコはキツネとバッタリ出会いました。ネコはニコニコしながら、キツネに話しかけます。
「こんにちは、キツネさん。このごろ獲物(えもの)がすくなくなって、お金が集まりにくくなりましたね。でもキツネさんは頭がいいから、どんなときでもうまくやっていらっしゃるんでしょうね」
するとキツネは、めんどくさそうに返事をしました。
「ぼくがうまくやっているかだって? きみは、どんなやりかたを知っているの?」
「わたしは、イヌのおまわりさんから逃げる方法をたったひとつしか知らないんです」
「どんな?」
ネコは、はずかしそうに答えました。
「もし、イヌのおまわりさんが追いかけてきたら、すぐ外国へ逃げる。それだけです」
「へー、それだけ」
キツネは、ネコをばかにしたように言います。
「ぼくは、百よりも、たくさんの法律を知ってるよ。それから、相手をワナに引っかける技もね。みんなぼくの知恵袋(ちえぶくろ)の中に入っているんだ。あわれなネコくん、ひとつ教えてあげようか?」
キツネが得意(とくい)になって、夢中(むちゅう)でしゃべっているときです。イヌのおまわりさんが令状(れいじょう)をもって、すぐそばまで来ました。
ネコは、すばやく南の島へ逃げました。これで安心、島にはたんまりとお金をかくしてあります。
「キツネさん、はやく知恵の袋を開けなきゃ!」
ネコが言ったときにはもう遅く、キツネはつかまってしまいました。
「キツネさんどうして? あっ、そうか。どのやり方にするのかまよっているうちに、つかまってしまったんだね。わたしは、ひとつしか逃げ方を知らなくて助かったよ」
ネコは、ホッとため息をつきましたとさ。
おしまい